「つぱんげ」って何?

そもそも私は、すべての原発を今すぐ止めることができるとは思っていません。
インフラとして整備されている現状の電力供給システムや、病院、産業などへの影響を考えると、すべての原発の即時停止がなかなか難しいのも事実でしょう。(2012.02.20修正)素敵なことに、3.11以来ほとんどの原発が定期検査に入ったまま、再稼働していません。このまま2012年4月末までに再稼働する原発がなければ、稼働する原発はゼロとなります。
原発は、これまで国策としてすすめられてきた原子力産業の最も目に付きやすい設備のひとつです。ウランの採掘から廃棄物の処理にいたるまで、巨大な利権の温床となっている産業構造それ自体を変える必要があると私は思います。
同時に、そのどこかに関わることで食べている沢山の人たちの生活、特に末端で被曝しながら働いてきた人たちへの補償などについて、細かく考えていかなければならないことがたくさんあります。

もちろん、新規建設計画の撤回はもちろん、耐用年数を超えている原発や、危険性の高い原発は今すぐに停止すべきです。ただ、それ以外のものについてはきちんと調査・検証し安全性を確保した上で最低限の使用期限を設け、できるだけすみやかに代替エネルギーに変更していくのが最も現実的な落とし所であるようにも思います。(2012.02.20修正)幸いなことに、2012年2月現在、稼働中の原発は2基のみとなりました。しかし、すべての原発が廃炉とならない限り、何度でも繰り返し使おうという話になるでしょう。2012年の夏を原発ゼロで過ごしながら、廃炉への道を進むには、やはり原子力産業全体の構造を問題とする必要があると思います。

……というか私は、照れ屋なこともあって、そもそも大声で「原発反対」と叫ぶのがどうも苦手です。
3.11以降、「困ったなあ」と思っていました。

しかしある日、ふと思いだしたのです。
──もう、20年以上前のこと。チェルノブイリ原発が事故を起こした後、日本でも反原発、脱原発の気運が高まったことがありました。
そんなムーブメントの中のひとつに、1989年7月17日に中野北口公園で行われた反原発のライブがあり、チラシやプログラム、入場券がわりに販売する缶バッジ作りなどに私も関わりました。
その製作過程で、当時からこうした活動に対してシャイだった私は、友人と「『反原発ライブ』っていうのはわかるけど、そのまますぎるでしょ。……何か、もう少しマシなタイトルはないのか」とアイデアを出し合いました。そしてふと「原発反対」というかわりに「つぱんげ」と言えばそれでいいんじゃないかと思いついた次第です。

……そう、このサイトのタイトル「つぱんげ」は、まさにその時のライブのタイトルです。そのまま使うことにしました。

あの時も確かに、原発に反対している人たちは沢山いました。
でも、今はもっと大勢の人が原発を無くしたいと思っているように感じます。細かい部分ではそれぞれ考え方が違っても、「原発は怖い」「できれば無い方がいい」……それだけで十分だと思います。

「原発反対!」と大声で叫んだり、人前ではっきりと意思表示するのが苦手な人、そもそも政治や社会問題に関わるのは嫌だと感じているあなた、ぜひ心の中で小さくつぶやいてみてください。

「……つぱんげ」と。

2011年4月 武川 彦)2012年2月20日一部修正